主な診療と治療

腎盂尿管がん

どんな病気ですか。

腎臓で血液よりこし出された尿は、腎臓の中の腎杯・腎盂を経て、尿管を経由し膀胱にたまります。こうした尿の通り道(尿路ともいいます)にできたがん(膀胱がんについては別頁参照)が、腎盂がんや尿管がんです。60代から70代の男性に多い病気です。一般的に、組織型(病理検査で分類される癌のタイプ)は膀胱がんと同様、尿路上皮癌ですが、膀胱がんよりも予後不良とされています。

腎盂がんや尿管がんの原因は何ですか。

多くは原因不明です。たばこ、慢性の尿路感染症、尿路結石などとの関連が指摘されています。

腎盂がん・尿管がんではどんな症状がでるのでしょうか。

最も多い症状は、目で見て分かる血尿です。腫瘍や凝血塊により尿路がつまると、脇腹の痛みや下腹部の痛みがおこります。腎盂腎炎をおこして見つかることもあります(この場合、腰痛、発熱、尿の混濁が認められます)。組織型が共通の膀胱がんを合併することがあり、その場合は排尿時痛や頻尿、残尿感などがみられることもあります。

どんな検査がおこなわれますか。

まず行われる尿細胞診検査は、排出した尿から集めた細胞のなかにがん細胞がないかを調べる検査です。これに加え、画像検査で診断されます。超音波検査、CT検査、逆行性尿路造影などを必要に応じて施行します。これらの画像検査に加え、当教室では、MRI検査をある特定の方法で撮影することにより、より正確に本疾患が診断できることを報告しました(Yoshida, S: Int J Urol. 2008;15:140-3)。この検査は造影剤が不要なので、腎機能が障害されていることの多い本疾患の患者さんの診断に非常に有用と考えられます。以上のような画像検査を行っても、がんの有無がはっきりしない場合、内視鏡(腎盂尿管鏡)検査を行うこともあります。腎盂尿管鏡は、麻酔をかけて行うため、入院が必要となります。

腎盂がん・尿管がんの治療はどのように行うのでしょうか。

腎盂がん、尿管がんには、手術がもっとも効果の高い治療法です。手術では、がんのある側の腎臓と尿管、それに膀胱壁の一部をひとつづきに摘出する腎尿管全摘除術が基本となります。腎盂がんなのになぜ尿管も切除するかといえば、腎盂がんや尿管がんは、尿路内に同時あるいは術後に発生しやすい性質があるためです。がんが転移をしている、あるいは手術が難しい患者さんには、シスプラチンという抗がん剤を中心とした化学療法が行われます。また、化学療法で効果がなかった場合や化学療法後に再発した場合には、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブによる治療が行われます。(詳しくはこちらへ

文責:石岡