主な診療と治療

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎とは何ですか?

頻尿(昼夜を問わず尿の回数が多い)、尿意切迫感(急に尿意が起こり我慢できない感じ)、膀胱の痛みを主な症状とする病気です。尿がたまったときの強い痛みが特徴です。通常の膀胱炎は細菌による尿路の感染が原因で、たいていは抗生物質で治ります。しかし、間質性膀胱炎は細菌によって起こるものではなく、尿自体はきれいで、抗生物質は効きません。

予防・治療はどのようなものがありますか?

いくつもの説がありますが、決定的なものはまだわかっていません。
膀胱の粘膜に異常が起こり、炎症が深部に波及するためという説などがあります。

症状をもう少し詳しく教えてください。

昼夜を問わない頻尿、膀胱のあたりの痛みなど通常の膀胱炎に症状が似ていますが、細菌感染が見られません。疼痛は尿がたまってくると強くなり、排尿をすると軽くなるのが典型的です。しかし、早めにトイレに行くことで痛みを避けていることもありますので、必ずしも痛みがあるとは限りません。痛みはある種の食べ物をとると強くなったりすることがあります。病気が進行した例では、膀胱は萎縮して、小さく硬くなってしまいます。

どのような検査をするのですか?

間質性膀胱炎が疑われる場合、膀胱鏡検査をし、広範な点状出血か、ハンナー潰瘍とよばれるベルベット状の地割れのようなものを確認します。最近では、上記のような特異な膀胱鏡所見がなくとも、同様の症状を訴える膀胱痛症候群もハンナー潰瘍のない間質性膀胱炎と同様の病態であると考えられるようになりました。そのため、膀胱鏡で特異な所見がないからと言って間質性膀胱炎様の病態が否定できるということではありません。

膀胱がんでも間質性膀胱炎に似た症状をおこすので、尿細胞診(尿の中にがん細胞が入っていないかみる検査)と、下記の経尿道的手術の初回には生検(組織診断)を行うことが重要です。

どのように治療しますか?

通常いくつかの方法を組み合わせて行います。完全に治癒することを目指すのではなく、症状の緩和、消失を目標にします。

  1. 内視鏡手術(経尿道的手術)

    萎縮した膀胱を水圧で拡張する膀胱水圧拡張はいずれのタイプの病態にも有効な方法です。麻酔をして行います。治療の中心であり、診断にも有用です。治療効果が長続きせず、再び水圧拡張を必要とすることもあります。ハンナー潰瘍を伴う場合には、経尿道的ハンナー病変電気切除・焼灼術も行います。

  2. 薬物療法

    抗うつ薬(特にアミトリプチリンが痛みの緩和に有効)、抗ヒスタミン剤などが使われています。また、抗アレルギー剤の一種であるトシル酸スプラタストが有効なこともあり、ガイドラインで勧められています。ただし、これらの薬剤は間質性膀胱炎には保険適応がありません。

  3. 膀胱内注入療法(膀胱の中に薬剤をいれること)

    抗凝固剤であるヘパリンや局所麻酔薬である塩酸リドカインを膀胱内に注入することの有用性も報告されています。ただし膀胱内注入療法単独の治療効果はそれほど大きいものではなく、また持続期間もそれほど長くありません。通常は水圧拡張の効果を持続させるための補助的な治療として、1-4週間くらいの間隔で外来で定期的に行います。これらの薬剤も間質性膀胱炎には保険適応がありません。

文責:横山