先進的な医療

上部尿路上皮がんに対する腎温存手術

当院では、腎機能をできる限り温存しながら、がんの根治と生活の質(QOL)の維持を両立させる治療に積極的に取り組んでいます。近年、2 cm 未満の小さな孤立性かつ低グレード/低リスクの上部尿路上皮がんに対して、内視鏡を用いた経尿道的レーザー焼灼術が安全かつ有効であるとの報告が複数蓄積されています。

具体的には、軟性・硬性の尿管鏡を用いて病変を観察し、レーザー焼灼により低侵襲に治療を行います。これにより、腎尿管全摘除といった大きな手術を回避し、腎機能を温存できる可能性があります。

また、片方の腎臓しか機能していない場合など、標準治療である腎尿管全摘除を行うと透析導入が避けられないと想定される患者さんでは、腎温存治療を可能な限り検討しています。標準治療とは異なる判断が求められる難しいケースでも、がんの制御と腎機能保持、QOLのバランスを慎重に見極めながら、最も適した治療方針を決定します。

治療適応は慎重に判断し、画像所見、尿路鏡所見、生検病理、尿細胞診などを総合的に評価して決定します。適応となるのは、一般に「小さく、単発で、低グレード/低リスク」と判定された上部尿路上皮がんに限られます。患者さんの全身状態や併存疾患も踏まえ、最適な治療法をご提案いたします。