臨床研修

留学体験記

安田 庸輔先生

現在、米国オハイオ州クリーブランドクリニックに留学中の安田です。私は2021年4月から、クリーブランドクリニック泌尿器科のCampbell博士の下で主に腎癌に関わる研究をおこなっております。

こちらでの主な研究は豚を使用した動物実験による腎部分切除の新しいモデルの構築であります。同じくタイから来られているDr. Worapatと共に早朝(7時)から豚の手術やその他の業務を行なっております。このような大掛かりな実験は日本では経験することは出来ず、大変貴重な体験となっております。
また、この動物実験と並行して、クリーブランドクリニックの大規模コホートを使用した臨床研究を行なっております。馬蹄腎に関する論文が先日、アクセプトされたところで、現在、もう一つの単腎の腎腫瘍の論文に取り掛かっております。

クリーブランドは夏は過ごしやすいですが、冬は極寒で特に1月・2月は家と病院の往復の毎日であったので、論文執筆業務も順調にはかどりました。医科歯科泌尿器科医局である程度の臨床経験を積んだ後でこのような海外留学ができることは今後の人生にとっても大変大きな経験となるものです。

福島 啓司先生

2021年よりワシントンDC郊外メリーランド州ベセスダにある米国国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の国立がん研究所のポスドクとして研究留学しております。所属しているのは、近赤外光線免疫療法(光免疫療法)を開発されたことで有名な小林久隆先生の研究室です。

私は英語はあまり得意ではありませんが、日本にいた頃から漠然といつか海外留学での基礎研究にチャレンジしたいと思っておりました。留学先を探そうと考えていたところ、大学の同期の友人がたまたま小林先生の研究室にいることを知りました。当時すでに光免疫療法については最新のがん治療として話題になっており、泌尿器がんにも使えそうだし、面白そうな研究だなと思いながらも、実際には遠い世界のように感じておりました。しかし、藤井教授に留学について相談してみたところ、なんと友人の日本での上司に連絡をとっていただき、小林先生に私を紹介していただけました。その直後、コロナ禍による混乱もあり、もう海外留学は無理なのかもしれないと考え始めていた折、幸運にも小林先生から連絡が届き、今に至ります(コロナ禍の海外渡航は大変でした)。

現在は、担癌マウスを用いた近赤外光線免疫療法の研究や分子イメージングの研究を行っております。世界の最先端の研究室での研究生活は、新しい概念や実験を学んだり、他の研究室とのコラボレーションも多く、非常にエキサイティングです。実験は準備に時間がかかりますし、失敗もありますが、この研究により治せる泌尿器がんの患者さんが増えるかもしれないと希望を持ち、頑張っております。

また、海外生活では日常生活や旅行からイベントまで、日本では経験できない貴重な経験をさせてもらっています。東京医科歯科大学腎泌尿器外科学は、私のように海外研究留学の希望を実現しやすい環境が整っています。手術もやりたいけど、海外研究留学も興味があるという研修医・学生さんはその希望を叶えられるかもしれません。一度当科に見学にいらしてはいかがでしょうか。