治療と検査開発

尿路上皮がんの薬物療法

周囲組織への浸潤があり根治的切除が不可能、もしくは転移のある尿路上皮癌(腎盂・尿管がん、膀胱がん)に対しては、薬物療法が治療の主体となります。現在、尿路上皮がんに用いられている薬物療法には、化学療法と免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)があります。

薬物療法のみでは効果が不十分な場合に、より高い治療効果を期待して化学放射線療法(化学療法と放射線療法の併用)を行う事があります。

また、化学療法は、筋層浸潤膀胱がんの患者さんに対して、膀胱全摘除術の術前もしくは術後補助療法として行われる事があります。

化学療法

複数の抗がん剤を組み合わせる多剤併用化学療法が行われます。標準治療は、GC療法(ゲムシタビン、シスプラチン)およびMVAC療法(シスプラチン、メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシン)です。いずれも、スケジュールに従い複数の抗がん剤を点滴投与します。骨髄抑制、腎機能障害、肝機能障害、消化器症状、脱毛、末梢神経障害などの有害事象が起こります。初回治療は入院で行いますが、2回目以降は、有害事象の程度に応じて、投与の全てまたは一部を外来化学療法室にて施行することもあります。

免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブ)

免疫チェックポイント阻害剤とは、がんが免疫を逃れて生き延びようとする仕組みをブロックして、人体が本来持っているがん免疫の作用を高め、がんの進行を抑える治療です。

2017年に、尿路上皮がんに対して保険適応となったペムブロリズマブは、がん細胞が免疫細胞(T細胞)に対して自らを攻撃しないようにブレーキをかける際に利用されるPD-1という分子を抑える薬剤です。化学療法に抵抗性となった後に用いられます。通常3週間間隔で、入院または外来化学療法室にて投与します。

なお、この薬剤は全身の免疫機能を活性化させるため、正常細胞に対する免疫反応も過剰となり、自己免疫疾患のような副作用をきたすことがあります。このような免疫チェックポイント阻害剤に特有の副作用(免疫関連有害事象:irAEと呼ばれています)は、全身の臓器に起こる可能性があり、かつ重篤になることがあります。治療開始前に、薬剤師からこれらの副作用についてご説明しますので、起こりうる症状についてよくご理解いただき、何らかの症状があれば、すぐに病院へ連絡してください。