光力学診断(photodynamic diagnosis: PDD)を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術
筋層非浸潤膀胱がんに対しては、まず経尿道的膀胱腫瘍切除(TURBT)による初期治療が施行されます。一般に筋層非浸潤膀胱がんの生命予後は良好ですが、TURBT後の高い膀胱内再発率が知られています(30-70%)。この高い再発率には、従来の白色光による膀胱鏡では観察困難な小さながんや平坦ながんの存在が関与しているとされています。
膀胱がんに対する、第3世代光線力学診断用剤5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を用いた光線力学診断(photodynamic diagnosis: PDD)が、2017年に保険適用になりました。5-ALAは、生体のエネルギー産生に関与する天然アミノ酸です。この5-ALAは、正常な細胞に比べてがん細胞に多く集まり、青色の可視光を照射されると赤色の蛍光物質に変わる性質があります。TURBT時にPDDを使用することにより、術中の膀胱がんの検出率が向上し術後の膀胱内再発率が減少することが報告されています。当院でもPDDを使用したTURBTを行っています。なお、膀胱上皮内がんに対しては、PDDを使用したTURBTは診断目的であり、標準的治療は従来と同様に膀胱内BCG注入療法です。